COLUMN コラム 辛酸なめ子

nameko

辛酸なめ子

漫画家・コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。
武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。
近著は『絶対霊度』(学研)、『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社)など。

女の人生にはい色がつきまといます。い色の子宮に包まれ、誕生してからは女子の色であるいリボンがかけられた贈り物をもらい、成長したらいランドセル、そして第二次性徴でお飯、大人になったらいルージュにチーク、運命のい糸を引き寄せて結婚と、折に触れてい色と縁があります。

 の語源は「現れる」の「ア」、「輝く」の「カ」という説があります。太陽が天に現れて輝いていることへの、素朴な驚きを表しています。日本では太陽の神様というと天照大御神ですが、女性の神様がい太陽の化身というのも象徴的です。

 はやんごとなき色で、古代では身分が高い人しか身につけることができませんでした。大量の紅花を使って繰り返し染められる「紅の八塩」などは、庶民には「禁色」とされていたのです。一般人は、茶色とか、灰色とか、くすんだ地味な色の衣服でおのずと庶民感が強調されます。

 かつて色の格差はそのまま運気の格差に影響していました。い色は悪霊を寄せ付けない魔除けの色。世界各地の民族衣装にも魔除けのが使われています。魔の侵入を防ぐため袖口や襟がいタイの衣装や、中国の子ども用のい帽子や靴。

 日本でも、皇族の内親王が3歳から身につけられる、御地というい着物の伝統があり、鮮やかな色に松や梅、鶴などの刺繍が入っていて、写真からも強力な魔除けパワーを発しているのが伝わってきます。邪気の付け入る隙など皆無です。

 現代は、誰でも鮮やかなを身につけられる良い時代になりました。口紅やほお紅も、もともとは魔除けの意味があったそうです。といってもフェロモンを醸し出すには、少しは魔の部分も取り入れたほうが良さそうですが…。

 には、魔除けや開運以外にも様々な効果があります。魔除けとは逆に、欲望を刺激する色でもあります。狼がずきんに誘われたように、い服は男性を引き寄せます。以前、理系の学生のグループを見かけた時に、紅一点の女子が真っな服を着て男子をはべらせていたのが印象的でした。女性がい服だと男性におごられやすいという説も。をうまく使うことで女性としてのメリットを享受できます。ただ、最近の草食男子は真っだと引いてしまうかもしれません。

 また、はアドレナリンの分泌を促す色で、血流が活発となって体温や心拍数が上昇し、元気になれます。い下着などはその一例ですが、アグレッシブな女性政治家もよくいスーツを着ているイメージです。前にテレビで観た米国議会では、議席に十数人ほどいスーツの女性政治家が座っていたのが鮮烈でした。は自分を鼓舞する色で、野心を叶える後押しをしてくれます。

 開運から健康、モテ、アドレナリンまで、いエネルギーを吸収して生きている女性たち。を制することで人生を制するといっても過言ではありません。いルージュを塗ると血色が良くなり、鏡を見て自分は健康で幸せだと脳が思い込み、実際に運気が好転しそうです。

 忘れてはいけないのは、そもそも私たちの体には、神の色でもあるい血が常に流れているということ。自分の内側にわきでる高貴な色をイメージするだけで、ポジティブに、女として誇り高く生きていけます。

唇 唇